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李緒の事はまた後日執筆予定です。なので違和感が生じるかもしれません)
今でも、忘れることが出来ない。
この手が血の紅に染まってしまった、今でも。
――あれはまだ、私が幼い頃のことだった――
「いいか、凛。お前は『暗殺者』になるんだ」
私が物心付くくらいから、父さんに言われ続けた言葉だ。
父さんは、裏の世界では結構名の知れた殺し屋。
娘である私は、父さんの職業を継がなければならなかった。
最初は体力的な面もあったのだろう、基礎的な武道をやるばかりだった。
それでも私は、父さんの言葉を信じて訓練に励んでいた。
そんなときだ。
一人の少女…如月李緒と出会ったのは。
「…はぁっ!」
私が小学校から帰る途中でのことだった。
まだ私と同じくらい―小学校低学年ほど―の年齢の少女。
彼女の身長以上もある黒いサンドバックを、ひたすら殴っていた。
……武術でも習ってるのかしら?
そんなことを思いながら様子を見ていると、偶然、彼女と目が合った。
「こんにちはっ」
にこりと彼女は微笑んで、こちらへ近づいてきた。
可愛らしい、年相応の笑みで。
「…あなたも、武術をやってるのね?」
「うん、そうだよ!…えっと、名前、なんて言うの?」
彼女は笑顔のまま言った。
「水瀬凛。…私も、武術をやっているの」
「じゃあ同じだね!私、如月李緒って言うの!」
そうして彼女、李緒と軽く握手を交わした。
初めて、握手を交わした。
「お友達になろうよ、凛ちゃん!」
「え…?」
『友達』なんて言葉、知ってはいたけど、私はそんなモノとは無縁に過ごしてきた。
だから戸惑った。自分の知らない世界に入ることになるから。
そんな私に構わず、李緒は私の手を握る。
「いっしょに遊んで、いっしょに練習するの!…たのしそうでしょ?」
「たのし…そう…」
「うん!それに、1人よりも2人でやるほうが『やりがい』があるんだよ?」
多分、やりがいなんて言葉を教えたのは李緒のお父さんだろう。
きっと彼女も、私と同じ『跡継ぎ』になるのかもしれない。
…そう思ったのは、きっと同情したからだと思う。
「友達に…なっても、いい?」
「うん!」
おそるおそる訊くと、一番の笑みで彼女は頷いた。
こうして私には、李緒という『友達』が出来た。
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